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任意整理中でもローンは通る?通りにくい理由と対策を徹底解説

任意整理中 ローン 通った

任意整理中は、生活再建に向けた大切な期間であり、原則として新たにローンを組むことは困難です。しかし、通勤や家族の事情でどうしても車が必要になったり、任意整理中でもローンに通ったという話を目にしたりして、「自分も可能かもしれない」と考える人もいるでしょう。

一方で、その情報を鵜呑みにして安易に行動すると、弁護士との契約違反になったり、二重の返済で生活が再び破綻したりと、状況を悪化させてしまう危険性があります。

このような事態を避けるためにも、正しい知識を身につけ、自身の状況を客観的に判断することが必要です。

本記事では、任意整理中にローンに通りにくい理由について、どうしても車が必要な場合の対処法なども加えて説明します。

目次

任意整理中に新たなローンを組むことは難しい

ローンを組む 難しい

任意整理中の人が新たにローンを組むのは、一般的に難しいとされています。最大の理由は、信用情報に「任意整理をした」という情報が登録されてしまうためです。

この情報は、金融機関の間では「事故情報」と呼ばれ、これがあるとお金の貸し手は返済能力に懸念があると判断します。とくに、銀行や大手信販会社が提供する自動車ローンやカードローンは、審査の際に必ずこの信用情報を確認します。そのため、事故情報が記録されている間は、審査を通過できる可能性は極めて低いと理解しておきましょう。

任意整理によって現状の借金を整理できるとしても、新たにローンを組みたい場合は、手続きが完了して信用情報が回復するまで待つことが必要です。

任意整理中にローン審査が原則NGとされる「3つの壁」

任意整理中にローンの審査を通すことは、一般的には極めて困難とされています。しかし、「任意整理中でもローンが通った」という体験談を目にして、可能性があるのではないかと考える方も少なくありません。

ただし、任意整理中のローン申し込みには明確な「3つの壁」が存在します。もし、3つの壁を理解せずに行動すると、審査落ちを繰り返すことで信用情報にさらなる傷をつけてしまう可能性があります。

現在の自分の状況を客観視し、今後取るべき適切な行動をとるためにも、3つの壁を理解しておきましょう

ここでは、ローン審査通過の障壁となる3つの壁について解説します。

①信用情報機関への事故情報登録

任意整理をおこなうと、その事実が信用情報機関に「事故情報」として一定期間登録されます。これは俗に「ブラックリストに載る」とも言われる状態で、ローン審査が通らない最も大きな理由です。

多くの金融機関では、ローンの申し込みがあった際にこの信用情報を照会します。もし、信用情報に事故情報が記録されている場合は、本人の返済能力に問題があると判断して自動的に審査の対象から外す仕組みになっています。

信用情報にブラックリストとして登録されている期間は、ローンによる新たな借り入れは、ほぼ不可能になると考えておくべきでしょう。

②金融機関側のリスク判断

金融機関がお金を貸す際に最も重視するのは、「貸したお金が利息とともにきちんと返ってくるか」という点です。

過去に任意整理をしたという事実は、金融機関側から「以前、返済計画通りにお金を返すことが難しくなったことがある」と判断される要因となります。そのため、返済能力を問題視され、「貸し倒れリスク」を懸念されてしまうでしょう。

金融機関は営利企業として、貸し倒れリスクを最大限に避けようとするため、任意整理の経験がある人への新規融資には、高いハードルを設けています

③任意整理の依頼時の約定

任意整理を依頼すると、多くの場合「新たな借入はしない」という約定を債権者と交わします。これは、債権者が合意した返済計画を成立させるために欠かせない取り決めです。

任意整理の和解交渉の前提として「もうこれ以上借金を増やさない」という姿勢を示す必要があり、追加で新規借入をおこなうと弁護士との契約違反とみなされる場合があります。

違反が発覚した段階で弁護士から契約を解除されるリスクや、債権者との信頼を損なうおそれもあるため、任意整理中にローンを組む行為は基本的に歓迎されません。

任意整理中にローン審査に通りやすいケース

原則として、任意整理中のローン契約は厳しい道のりですが、可能性が完全にゼロというわけではありません。実際、完済が目前に迫り信頼が回復していたり、収入が改善して返済能力が高いと判断されたりすると、審査に通るケースがあります。

いくつかの特定の条件が重なった場合には、例外的に審査を通過できるため、自身の状況と照らし合わせながら、理解しましょう

ここでは、任意整理中にローン審査に通りやすいケースを解説します。

①返済実績が良好で、完済が近い場合

任意整理で決まった返済計画を守り、一度も遅れることなく着実に返済を続けている実績は、審査の際に評価されるポイントになります。

とくに、返済総額の大部分をすでに支払い終え、完済が目前に迫っている状況は、金融機関にとって安心材料です。誠実に返済を続ける姿は、返済意欲の高さを示す証拠となり、信頼回復につながります

完済が近いと、貸す側から見ても「貸し倒れのリスクが低い」と判断しやすくなるため、審査において有利に働く可能性があるでしょう

②収入が大幅に改善し、返済能力が高いと判断された場合

任意整理の手続きを始めた当初よりも、現在の収入が大幅に増加している場合も、審査に通る可能性が出てきます。

たとえば、昇進や転職によって給与が上がり、継続的かつ安定した収入があることを給与明細などで客観的に証明できると返済能力が上がったと判断されるでしょう。

もし返済能力が向上したと金融機関が判断すれば、「現在の返済に加えて新たなローンも返済可能かもしれない」とみなされることがあります。

ただし、その場合でも借り入れを希望する金額が収入に見合った、無理のない範囲であることが審査通過の前提条件となります。

③少額の借入で、かつ担保や保証人がある場合

希望するローンの金額が比較的少額であることも、審査のハードルを下げる一因となります。金融機関にとって、貸し出す金額が少ないほど、万が一返済されなかった場合の損失、つまりリスクが小さくなるためです。

さらに、不動産といった担保や安定した収入のある保証人などを用意できれば、信用力を大きく補強できます。担保や保証人は、もしものときに返済を保証してくれる存在であるため、金融機関はより安心して融資を検討できます。

④自社ローンなど独自の審査基準がある場合

銀行や信販会社と異なり、信用情報を照会しない独自の基準でローン審査をおこなう会社も存在します。その代表例が、一部の自動車販売店などが提供している「自社ローン」です。

自社ローンは、現在の収入状況や勤務先、勤続年数などから「将来的に返済を続けられるか」を重視して審査をおこなうのが特徴です。そのため、任意整理中の事実があったとしても、現在の返済能力が十分にあると判断されれば、ローンを組める可能性があります。ただし、手数料が高めに設定されているなどの条件があるため、契約内容は慎重に確認しましょう。

任意整理中にどうしても車が必要な場合の選択肢4選

任意整理中 車が必要 選択肢

任意整理中であっても、通勤や通院、家族の送迎など、日々の生活を送るうえでどうしても車が不可欠になる状況は考えられます。しかし、信用情報機関に事故情報が登録されている状態のため、対策をしない状態で通常のローン審査に申し込んでも、ほぼ確実に審査落ちしてしまいます。

そのような事態を避けるためには、任意整理中でも利用可能な選択肢を事前に把握し、自分の状況に最も適した方法を選択することが重要です。

ここでは、任意整理中にどうしても車が必要な場合の選択肢を解説します。

①自社ローンを利用する

自社ローンとは、自動車販売店が車両の代金を事前に立て替えて、購入者に分割払いで提供する仕組みのことです。販売店が信用情報機関を参照せず、独自の基準で審査をする場合が多いため、任意整理中の人でも利用できる可能性があります。

ただし、安定収入や返済プランをしっかり説明できなければ断られることがあります。また、一般的な自動車ローンに比べて金利が高かったり、保証料などの手数料が必要だったりする場合があるため、契約前には総支払額を必ず確認することが大切です。

②家族名義でローンを組む

自身の名義でローンを組むのが難しい場合、両親や配偶者など、安定した収入のある家族に協力してもらい、代理でローンを契約してもらう方法もあります。

この場合、審査の対象となるのはあくまでローン名義人の信用情報や返済能力です。したがって、自分の任意整理の事実は審査に影響しません。

しかし、もし返済が滞った場合、その支払い義務はすべて名義人が負うことになります。迷惑をかけないためにも、必ず事前に事情を説明して理解を得て、返済が滞らない綿密な計画を立てることが必要です。

③頭金を多めに用意する

借入額を減らすために、現在支払える範囲でできるだけ多くの頭金を用意することも、ローン審査において有効な手段です。借入額が少ないほど金融機関にとっては貸し倒れリスクが低いため、審査が通る可能性がわずかに上がります

頭金を準備できるかどうかは個人の経済状況に左右されますが、できれば用意して毎月の返済額を抑えるとよいでしょう。月々の負担が軽減されれば、長期的な返済計画も立てやすくなります

④保証人を立てる

安定した収入があり、社会的な信用度の高い人に保証人になってもらうことで、ローン審査に通る可能性を高められます。保証人とは、ローンを返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う人のことです。

金融機関から見れば、保証人がいることで貸したお金を回収できる可能性が格段に高まるため、審査の大きなプラス材料となります。ただし、保証人には重い責任がともなうため、親族など信頼できる人にお願いする場合でも、迷惑をかけない返済計画を明確に示すことが必要です。

任意整理中に新規ローンを組むときの注意点

任意整理中 注意点

任意整理中にローンが通ったとしても、安易に契約してしまうのは危険です。一時的な資金調達ができたという安心感から、重要なリスクを見落としてしまう人も少なくありません。

任意整理中の新規ローンには、通常の場合とは異なる注意点が存在します。注意点を理解せずにローンを組んでしまうと、せっかく立てた返済計画が根底から崩れ、以前よりも深刻な状況に陥ってしまう危険性があります。後悔しないためにも、ローンを組むという決断をするのであれば、その先にどのようなリスクが待ち受けているのかを正確に理解しておくことが大切です。

ここでは、ローンを組む際に確認すべき注意点3つ解説します。

①再び返済が苦しくなる可能性がある

新たなローンを組めば、任意整理と合わせて二重の返済義務を負うことになります。2つの返済は、家計を圧迫し、生活が苦しくなる原因となります。もし、新たな返済計画が少しでも無理のあるものだった場合、計画は簡単に破綻してしまうでしょう。

その結果、2度目の債務整理をせざるを得ないという、最悪の事態に陥る可能性も十分に考えられます。長期的な視点で、本当に2つの返済を両立できるのかを厳しく見極めてみてください

②契約違反になる可能性がある

任意整理を専門家(弁護士・司法書士)に依頼している間は、委任契約書を借入の前と手続きの節目に見直す必要があります

委任契約書には、「任意整理が終わるまで、債権者に無断で新たな借り入れをおこなわない」という禁止条項が明記されています。これを忘れたままローンを組むと、契約違反となり、以下のような事態をまねくおそれがあるでしょう。

  • 代理人が辞任する
  • 債権者との和解交渉が白紙に戻る

このようなトラブルを避けるためにも借りる前に・一定期間ごとに」契約を再確認する習慣をつけることが、任意整理を最後まで円滑に完了させる最良の予防策となります。

③債権者にバレる場合がある

もし、「内緒でローンを組めばバレないだろう」と考えている場合は危険です。新たな借り入れの事実が債権者に知られた場合、「和解内容を守る気がない」と判断され、約束した分割返済の合意を取り消し、借金残額の一括返済を求められるといった深刻なトラブルに発展しかねません。

実際、金融機関同士の照会や支払い状況の変化で、新規の借入が現在返済中の債権者に知られてしまう可能性は十分にあります。後からトラブルになることを避けるためにも、慎重な行動が大切です。

ローン審査に通った場合に忘れてはいけないリスク管理

ローン審査 リスク管理

幸運にもローンの審査を通過できたとしても、それは決してゴールではありません。むしろ再び借金生活に陥らないための、新たな責任を負うスタートラインに立った認識すべきです。

適切なリスク管理を怠ると、再び多重債務に陥り、今度はより深刻な債務整理が必要になる可能性があります。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、リスク管理のポイントを理解することが大切です。

ここでは、ローン審査に通った場合に忘れてはいけないリスク管理について解説します。

①新たな借金であることを再認識する

ローンを組めたことで一時的に安心するかもしれませんが、「新たな借金」が増えたという事実を忘れてはいけません。返済しなければならない義務が一つ増え、家計への負担が以前よりも大きくなったことを、改めて認識することが重要です。

一度、債務整理を経験したからこそ、安易な借り入れを繰り返してしまう「借金体質」に戻らないよう、常に自分を律する姿勢が求められます。

収入と支出を正確に把握し、計画的な返済を一日も怠らないという覚悟が必要です。

②再び債務超過に陥らないための強い意志を持つ

一度、借金の返済に苦しんだ経験を教訓に、「二度と債務超過には陥らない」という強い意志を持つことが何よりも大切です。

そのために、家計簿をつけるなどして毎月の収入と支出を「見える化」し、無駄な出費はないか徹底的に見直す習慣をつけましょう。

そして一度立てた返済計画は、何があっても守り抜くという固い決意が必要です。自分だけの管理に不安がある場合は、隠さずに家族に相談したり、専門家のサポートを受けたりすることも、有効な手段の一つとなります

③任意整理の返済と新規ローンの返済の難しさを理解する

任意整理した借金と、新たな借金を同時に返済するのは、毎月の返済総額が大きくなり、家計への圧力が増えます。どちらか一方でも返済が遅れてしまえば、せっかく回復しかけていた信用が、再び失われてしまうことを理解する必要があるでしょう。

二重の返済がいかに家計に重くのしかかるかを常に意識し、無理のない計画になっているか、定期的に見直す姿勢が重要です。返済スケジュールが厳しいと感じたら、家計の再調整や専門家への相談など、早めの対策をしましょう。

④繰り上げ返済を検討し、早期完済を目指す

もし、給与や賞与で臨時収入があったり、節約によって家計に余裕が生まれたりした場合は、ローンの「繰り上げ返済」に充てることを検討しましょう。

繰り上げ返済とは、毎月の決められた返済額とは別に、まとまった金額を返済することです。これを実行すると、ローンの元金が早く減るため、将来支払うはずだった利息の総額が減少し、結果的に返済全体の負担を軽くできます

返済の優先度を見誤らず、負債総額をいち早く減らす意識を持ち続けていきましょう。

任意整理中にローンを組む際は専門家と相談し、慎重に判断しよう

ローンを組む 相談

本記事では、任意整理中にローンに通りにくい理由について、どうしても車が必要な場合の対処法なども加えて説明しました。

任意整理中に新たなローンを組むことは、一般的に難しいとされています。ですが、一部例外として信用情報を参照しない自社ローンを活用する選択肢もあります。

もし、どうしても借り入れが必要な事情がある場合は、最初に任意整理の手続きを担当している弁護士や司法書士といった法律の専門家に必ず相談してください。専門家は、現在の経済状況や債権者との関係性をすべて把握したうえで、新たな借り入れが今後の計画にどのような影響を与えるのか、法的な観点から客観的で的確なアドバイスをしてくれます。

目先の必要性だけでなく、長期的な視点でメリットとデメリットを天秤にかけ、最善の選択を、専門家とともに慎重に判断しましょう

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