住宅や自動車の購入など人生の大きな買い物を実現するためにローンを活用する方は多くいます。しかし、これまでの信用情報や現在の支払い能力などから自分はローンを組めるのかを不安に思う方もいるでしょう。
実際、自身の状況をよく確認しないまま「自分も組めるだろう」と申し込むと、審査に落ち、計画が白紙に戻ってしまう人も少なくありません。このような事態を避けるためにも、正式にローンを申し込む前に、自身が「ローンを組めるのか」を事前に確認しておくことが大切です。
本記事では、ローン審査の事前確認方法について、信用情報のチェック方法や借入可能額の調べ方、審査が厳しい場合の対処法を交えて解説します。
ローンを組めるか事前に確認しておけば、審査に落ちることで失う時間と手間を省ける

ローンの審査に通るかどうかは、実際に申し込む前にある程度予測できる場合があります。
事前に自身がローンを組める可能性があるのか、また、いくらぐらいまで借りられるのかを把握しておけば、無理な計画で時間を浪費することを防げるでしょう。
たとえば、信用情報機関での個人信用情報開示や金融機関の仮審査・事前審査を活用して借入可能性を確認するといった方法があります。
早い段階で借入の可否を知ることで、自分の予算に合った物件や商品を効率的に探せるため、現実的な資金計画を立てることが可能になります。
【ローン組めるか確認する方法①】信用情報を確認する

ローンを組めるかどうかを確認するうえで、避けては通れないのが信用情報のチェックです。金融機関は申込者の信用情報を審査で最も重視する傾向があり、ここに延滞や事故情報が登録されていると通過するのは難しくなります。
自身の信用情報を知ることは、過去の返済履歴や契約状況をあらためて振り返るきっかけにもなり、今後ローンを利用したいときの計画作りにも役立ちます。まずは自身の信用情報の現状を正確に把握することが、ローン計画の第一歩といえるでしょう。
ここでは、信用情報に関して押さえておきたい3つのポイントを解説します。
信用情報とは個人の金融取引に関する情報
信用情報とは、個人のクレジットカードやローンなどの金融取引に関する客観的な記録のことです。たとえばクレジットカードを作るときやローンを申し込むときの契約日や限度額、返済状況が記録されています。なお、人種や思想、犯罪歴などの個人のプライバシーにかかわる内容は含まれません。
金融機関はこの情報をもとに、申込者が過去に延滞をしていないか、過剰に借入をしていないかなどを確認し、返済が可能かどうかを審査します。
自分の信用情報を確認する方法
自分の信用情報を確認するには、CICやJICCなどの信用情報機関に「情報開示」を請求する必要があります。
手続きは、本人確認書類と手数料を用意して、スマートフォンアプリや郵送などで申請するだけで終了です。
開示書類には、クレジット契約、ローン契約、延滞履歴、残高などが記載されており、もし延滞や事故情報が登録されていれば、その内容を正確に把握できます。
ローンを申し込む前に自身の信用情報を一度チェックしておけば、審査に通過しやすいかを確認できます。
信用情報に問題ないかを確認
情報開示をおこない、信用情報をチェックする際には、まずは延滞や事故情報の有無を確認しましょう。もし連続した「返済遅延」や「代位弁済」などが登録されている場合は、いわゆるブラックリスト状態である可能性が高く、新規ローンの審査を通過するのはかなり厳しいといえます。
こうした状態では、何よりも先にローンを完済する、誤登録があれば訂正を求めるなど、問題解決に向けた行動が必要です。信用情報に問題がなければ、新規ローンの審査を申し込むうえで大きな障害はないと判断できます。
【ローン組めるか確認する方法②】借入可能額の目安を確認

ローンを検討するときは、「どのくらい借りられるのか」といった借入可能額の目安を把握することも重要です。どれほど良い家や車が見つかっても、希望する金額のローンを組めなければ、計画そのものを見直さなければならなくなります。
自身の収入や現在の状況から、どれくらいの金額なら借りられるのかを知ることは、現実的な資金計画を立てるうえで不可欠です。
ここでは、借入可能額について覚えておきたい内容を2つ解説します。
借入可能額を決めるおもな要素
金融機関が融資する借入可能額を決定する際には、申込者のさまざまな情報を総合的に評価します。
具体的には、以下のような要素が借入可能額に影響を与えます。
要素 | 説明 |
---|---|
年収 | 収入が高いほど、返済に充てられる金額も大きくなるため、借入可能額は増える |
既存の借入状況 | 他のローンやクレジットカードのキャッシングなど、既存の借入額や件数が多いと、新たな返済余力がないと判断される |
返済負担率 | 年収に占めるすべてのローンの年間返済額の割合のこと。上限が設けられており、一般的に30%〜35%が目安となる |
雇用形態や勤続年数 | 安定した収入が将来にわたって見込まれるかどうかの判断材料となる |
借入可能額の目安を確認する方法
自身の借入可能額の目安を手軽に知るには、金融機関のウェブサイトに用意されている「ローンシミュレーション」を利用するのが最も簡単な方法です。
年収や年齢、現在の借入状況などを入力するだけで、おおよその借入可能額をすぐに計算できます。ただし、これはあくまで簡易的な計算であり、実際の審査結果とは異なる場合がある点に注意が必要です。
より正確な借入可能額を知りたい場合は、購入したい物件や車がある程度決まった段階で、金融機関の仮審査に申し込むのがおすすめです。
【ローン組めるか確認する方法③】ローン種類別の審査ポイントを確認

ローン審査は、各金融機関が独自に設けている基準や、商品の特性によって重視されるポイントが異なります。そのため、ローンを申し込む前には、自身が利用したいと考えている金融会社の公式サイトや商品概要などを確認し、審査基準を把握しておくことが大切です。
もし基準を満たしていない項目があれば、申し込みの前に何らかの対策を講じることで、審査に通る可能性を高められるでしょう。
ここでは、代表的なローンごとの審査ポイントと、金融機関の種類による傾向の違いを解説します。
自動車ローンの場合
自動車ローンの審査で確認されるポイントは、以下のとおりです。
- 年収・勤続年数
- 信用情報
- 既存借入状況
- 車両価値
- 頭金の額
審査で重視されるのは、申込者の返済能力に関する項目や、過去の支払い遅延などがないかといった信用情報です。
また、購入代金の一部を自己資金で支払う「頭金」を多く用意できるほど、借入額が減って金融機関のリスクも低減するため、審査に有利に働く傾向があります。
住宅ローンの場合
住宅ローンは、借入額が数千万円単位と高額で返済期間も数十年と長期にわたるため、金融機関は慎重かつ多角的な視点から審査をおこないます。
- 申込者の基本情報
- 信用情報
- 既存借入状況
- 担保として出す土地や建物の価値
- 自己資金の額
- 健康状態
住宅ローン特有の審査ポイントとしては「健康状態」があげられます。これは、万が一の場合に備えて団体信用生命保険への加入が必要となるケースがほとんどであるためです。
カードローンの場合
カードローンは、使い道が自由で原則として担保や保証人が不要なローンです。
カードローンの審査で確認されるポイントは、以下のとおりです。
- 年収・収入の安定性
- 信用情報
- 総量規制の確認
- 既存借入の総額
- 勤務先・雇用形態
審査では、申込者個人の「返済能力」と「信用情報」が最も重視されます。
審査の際には、「総量規制」という法律のルールが適用される点が大きな特徴です。総量規制とは、貸金業者からの借入は合計で年収の3分の1までしかできない決まりのことです。
カードローンの審査では、この範囲内に収まっているかが厳しくチェックされます。
金融機関の種類による審査傾向の違いも確認する
ローン審査は、どの金融機関を利用するかによっても厳しさや金利条件などが変わります。
金融機関の種類 | 審査の特徴 |
---|---|
メガバンク | 顧客の属性評価を厳しくおこなうケースが多い・ブランド力が高い一方で審査基準が厳格 |
地方銀行 | 地域に居住または勤務している人に対して柔軟な対応をする場合がある |
ネット銀行 | 提出された書類や信用情報にもとづいて機械的に判断される傾向が強い・金利の低さが魅力だが対面でのやり取りがない |
それぞれの特徴を理解し、自身の状況に合った金融機関を選ぶことが大切です。
【ローン組めるか確認する方法④】仮審査で具体的な可能性を確認する

これまでのステップでご自身の状況を確認したうえで、より具体的にローンを組める可能性を知りたい場合には、「仮審査」の利用が有効です。
仮審査は、正式な申し込みの前に、おおよその借入可否や借入可能額を金融機関の視点で判断してもらえる手続きのことです。この結果をもとに、より現実的な資金計画を立て、購入する物件や商品を絞り込めます。
ここでは、仮審査について、以下の3つの観点から解説します。
仮審査は正式に申し込む前の簡易審査
仮審査とは、本格的なローンの申し込みである「本審査」の前段階としておこなわれる、簡易的な審査のことです。
多くの場合、以下の基準をもとに、機械的にスピーディーな審査がおこなわれます。
- 申込者が自己申告した年収や勤務先、借入状況などの情報
- 信用情報機関への照会結果
仮審査で確認しておくことで、審査が通るかの目安となるため、事前に試すのがおすすめです。しかし、仮審査を通過したからといって、必ずしも本審査に通るとは限らない点には注意が必要です。
仮審査に必要な情報
仮審査を申し込む際には、金融機関が返済能力を判断するために、いくつかの情報や書類を提出する必要があります。一般的に必要となるのは、以下のような情報です。
情報カテゴリ | 具体的な項目 |
---|---|
申込者自身の情報 | 氏名、住所、生年月日、連絡先など |
勤務先の情報 | 会社名、所在地、業種、勤続年数、雇用形態など |
収入に関する情報 | 前年の年収 |
既存の借入状況 | 他のローンの有無、金融機関名、借入残高、年間返済額 |
最近では、多くの金融機関でインターネットから手軽に申し込むことが可能です。
仮審査の結果が出たら確認すべきこと
仮審査の結果通知が届いたら、単に可否を確認して終わりではいけません。もし、仮審査に通った場合は、金融機関から提示された条件をしっかりと確認することが重要です。
具体的には、以下のポイントをチェックしましょう。
確認項目 | チェックポイント |
---|---|
借入可能額 | 希望していた金額を借りられるか |
適用金利 | 提示された金利で計算した場合の、毎月の返済額や総返済額 |
借入期間 | 希望していた返済期間で組めるか |
提示された条件が返済計画に見合っているかを確認し、もし希望と異なる場合は、借入額を減らすなどの対策を検討する必要があります。
ローンを組めるか確認した結果、厳しそうなときの対処法

ローンを組めるか確認した結果、今の状況では審査の通過が厳しそうだと判明することもあるでしょう。しかし、そこであきらめる必要はありません。むしろ、正式な申し込みの前に問題点がわかったからこそ、事前に対策を打つことが可能です。
もし何の対策も講じずに闇雲に複数の金融機関に申し込みを続けてしまうと、申込履歴が信用情報に記録され、さらに審査が不利になる「申込ブラック」状態に陥る危険性があります。トラブルを避けるためにも、戦略的なアプローチが大切です。
ここでは、ローン審査が厳しいとわかった場合に検討できる、6つの対処法を解説します。
①借入希望額を見直す
ローン審査が厳しい場合の対処法として、借入希望額そのものを減らすことが挙げられます。借入額を下げることで毎月の返済額が少なくなり、金融機関が重視する返済負担率を改善できるためです。
返済負担率を金融機関の基準内に収めることで、審査通過の可能性が大幅に向上します。
購入したい商品のランクを一つ下げるといった対策をして、計画全体を見直してみましょう。
②頭金を増やす
頭金を多く用意することも、ローン審査を有利に進めるための有効な手段です。頭金を多く入れることで、その分だけ借入希望額が減るため、審査のハードルそのものを下げることが可能です。
さらに、月々の返済額や将来支払う利息の総額も抑えられるため、返済負担を軽くできるメリットもあります。また、計画的にお金を貯めてきた事実は、金融機関に対して堅実な人物であるという良い印象を与えることにもつながります。
③既存の他の借入を整理・完済する
もし、申し込みを検討しているローン以外に、クレジットカードのキャッシングやリボ払いなどの借入がある場合は、それらを整理・完済することで審査状況が改善される可能性があります。
複数の借入があると、それだけ返済負担率が高くなるだけでなく、金融機関からは「お金の管理ができていない」といった印象を持たれかねません。まずは、現在利用している借入をリストアップし、返済可能なものから完済していくことを検討しましょう。
④信用情報に問題がある場合は、改善されるまで待つ
信用情報機関に登録された金融事故の情報は、永久に残るわけではありません。ただし、事故の事実が消えるまで、一定期間待つ必要があります。
信用情報の事故情報は、問題が解消してから、通常5〜7年間は記録が保存され、その期間が過ぎると抹消されます。そのため、まずは現在ある借金をきちんと完済することが最優先です。
情報が消えるまでの期間は、新たな延滞などを決して起こさないよう、堅実な家計管理を心がけましょう。
⑤保証人や保証会社を利用する
審査の通過が難しい場合に、保証能力のある「保証人」を立てたり、「保証会社」を利用したりすることは、有効な選択肢の一つです。
保証人や保証会社は、万が一申込者がローンを返済できなくなった際に、代わって返済をおこなう役割を担います。これにより、お金を貸す金融機関側のリスクが低減されるため、申込者本人の信用力だけでは難しい場合でも、審査に通る可能性が高まります。
ただし、保証人自身も十分な収入や信用力があるかどうかの審査が必要なため、信用情報に傷がない人を選びましょう。
⑥別の金融機関やローン商品で再検討する
金融機関やローン商品の違いによって、審査基準や金利、返済条件などが変わるため、一社落ちても、別のところなら通過する可能性があります。
審査に不安がある場合は、最初に検討した金融機関だけでなく、居住地域にある地方銀行や信用金庫、あるいは金利の低さが魅力のネット銀行など、視野を広げて複数の選択肢を検討してみましょう。
複数の金融機関で仮審査を受けてみるなど、納得のいく商品を探す努力を続けると、自分に適したローンを見つけやすくなります。
ローンを組めるか事前に確認して、賢く計画を立てよう

本記事では、ローン審査の事前確認方法について、信用情報のチェック方法や借入可能額の調べ方、審査が厳しい場合の対処法を交えて解説しました。
ローンを組む前の事前確認は、単に審査に通るかを確かめるためだけにおこなうものではありません。現在の信用情報や返済能力と真摯に向き合い、無理のない、より良い資金計画を立てるための重要なプロセスです。
延滞の有無を把握し、借入可能額や金融機関ごとの審査基準を理解しておくと、実際に申し込む際のトラブルも防げます。
その結果、審査への不安を解消し、スムーズで後悔のないローン計画を実現するための一歩を、自信を持って踏み出せるでしょう。
自分に合った方法でローンを組めるかを確認しながら、納得のいく資金計画をスタートしてください。