大きな買い物や車の購入を計画している場合、ローンの活用を考える方は多いでしょう。しかし、「自分ってローンの審査に通るのかな」と不安を感じて事前に状況を調べたい方も少なくありません。
実際、本人の信用情報や支払い能力などを審査した結果、ローンが通らないケースも考えられます。このような事態を避けるためには、ローンの申し込み前に自身の状況を客観的に把握し、正しい知識をもって審査を通しやすくする準備を進めることが大切です。
本記事では、ローンを組めるか調べるための具体的な方法について、審査でチェックされるポイントや各ローンの特徴比較、審査に落ちた場合の対処法を交えて解説します。
【結論】ローンを組めるかを調べる確実な方法はない

金融機関によって審査の基準や重視するポイントが変わり、公にされていない内容も多いためローンが確実に通るかを調べる方法はありません。
仕事や年収が同じでもクレジットヒストリーや借入の件数、信用度の評価などが違えば、審査結果が変わってしまうため、自分で判断するのは難しいでしょう。
しかし、審査でチェックされる項目や、信用情報を事前に把握することで、ローンを組める可能性をある程度予測し、準備を進めることは可能です。返済条件のシミュレーションや自身の収支状況を整理し、できる限り確実にローンを組むにはどう進めればよいか考えてみるとよいでしょう。
ローンが組めるか調べたいときに確認したい情報

なるべく早い段階で通過できそうかを事前に見極めることが大切です。とくに、仮審査の活用と信用情報の把握は、自身の状況を客観的に知るうえで役立ちます。
もし、確認をせずに一気に本審査へ進んでしまうと、申し込んだ先の審査に落ちたときに他社でも不利になることがある点に注意が必要です。そのような状況を避けるために、ローンが組めるか事前に確認することが大切です。
ここでは、仮審査と信用情報について解説します。
①仮審査
仮審査とは、本格的なローンの申し込み前におこなわれる、簡易的な審査のことを指します。年収や職業、他社からの借入状況といった自己申告の情報をもとに、ローンを利用できるかの目安や、借入可能額の見込みがわかります。
多くの銀行やローン会社が、住宅ローンや自動車ローンなどでこの仕組みを導入しており、ウェブサイトから手軽に申し込める場合が多いです。
ただし、仮審査の結果を過信しすぎないようにしましょう。あくまで参考として確認しておくのがおすすめです。
②信用情報
信用情報とは、個人のクレジットカードやローンに関する契約内容、利用状況や返済履歴などを記録した、客観的な金融取引の履歴データです。信用情報は、国が指定した「信用情報機関」によって収集・管理されており、金融機関はローン審査の際に必ずこの情報を照会します。
信用情報には、過去の延滞、債務整理(自己破産など)、複数のローンへの同時申し込みといった記録も含まれています。自分の信用情報は、各信用情報機関に開示請求をおこなうことで確認可能です。
各カーローンの特徴と組みやすさの比較

カーローンと一括りにいっても、提供元によってその特徴や審査の傾向は大きく異なります。 もし、それぞれの特徴を理解しないままローン手続きをすると、審査に通らなかったり信用情報に傷がつくおそれがあります。
トラブルを避けるためにも、それぞれのローンの仕組みや審査の視点を理解して、自身の状況に適した、審査に通りやすいローンを見つけることが大切です。
ここでは、代表的な自動車ローンの特徴を3種類紹介します。
①マイカーローン
銀行や信用金庫などが提供するマイカーローンは、金利が年1%〜4%程度と低めに設定されている点が最大の魅力です。金利が低い分、総支払額を抑えられるため、計画的に返済を進めたい人に向いています。
また、車の購入費用だけでなく、車検や修理、免許の取得費用など、幅広い用途に利用できるのも特徴です。ただし、審査の基準は他のローンに比べて厳しい傾向にあります。申込者の収入状況や信用情報を厳しくチェックするため、審査時間は長めです。
②ディーラーローン
ディーラーローンは、自動車販売店(ディーラー)が提携する信販会社が提供するローンです。ローンを完済するまで車の所有権がディーラーまたは信販会社に留保される「所有権留保」を担保とするのが特徴です。
金利は年4〜10%程度と銀行のマイカーローンに比べて高めに設定されていますが、審査のスピードが速く、通りやすいメリットがあります。
自動車の購入手続きと同時にローンの申し込みができ、納車までの流れが非常にスムーズなため、手間をかけずに手続きを完了させたい人に適しています。
③自社ローン
自社ローンとは、中古車販売店などが独自に提供している分割払いの仕組みです。信用情報機関の情報を照会しない、あるいは独自の基準で審査をおこなうため、過去に金融トラブルを経験した場合でも利用しやすい点が特徴です。
ただし、車両価格に10〜20%程度の手数料が上乗せされることが一般的で、総支払額は割高になる傾向があります。
また、完済まで車の名義は販売店にあり、支払いが滞った場合には速やかに車が引き揚げられるリスクがあることも理解しておくことが必要です。
ローンの審査でお店側からチェックされやすい5つのポイント

ローンを組める可能性を探るためには、金融機関や信販会社が審査の際にどのような点を確認しているのかを理解することが不可欠です。
もし、ポイントを押さえていないとローンの審査が通りにくくなるだけでなく、審査に落ちた事実が信用情報に記載され、さらに借りにくくなるトラブルにつながります。審査でチェックされる項目を把握すれば、自身の状況を客観的に見直し、強みと課題を把握できるでしょう。
ここでは、ローン審査でチェックされる5つのポイントを解説します。
①信用情報(クレジットヒストリー)
信用情報には、以下のような内容が詳細に記録されています。
- 過去のローンやクレジットカードの申込履歴
- 契約内容
- 支払い状況
- 借入残高
とくに、過去に支払いの延滞や遅延、債務整理(自己破産や任意整理など)といった金融トラブルの記録があると、返済能力に深刻な懸念があると判断され、審査通過は困難になります。たとえ小さな金額の支払い遅れであっても、その事実が記録として残ってしまうため、日頃から計画的な利用を心がけることが大切です。
②勤務先と収入状況
申込者に安定した返済能力があるかどうかを判断するため、勤務先に関する情報や収入の状況は厳しくチェックされます。
具体的には、以下の内容が評価の対象となります。
- 勤務先の企業の規模や業績の安定性
- 雇用形態
- 勤続年数
収入面では、年収の金額そのものだけでなく、それが毎月安定して得られているかどうかが重視されます。勤続年数が短い場合や、転職して間もないタイミングでは、収入の安定性が低いとみなされ、審査において不利に働くことがあります。
③他社からの借入状況
カードローンやクレジットカードのキャッシングなど、借入先の件数や借入残高の合計額も確認します。もし、複数の会社から多額の借入れがあると、「他社への返済に追われており、新たな返済余力が低いのではないか」と判断されやすくなります。
また、借入額そのものが多くなくても、借入件数が多い場合や、直近で立て続けにローンの申し込みをおこなっている場合も注意が必要です。経済的に余裕がないという印象を与え、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
④本人の基本情報
申込者本人の基本的な属性情報も、生活の安定性を測るための間接的な指標として確認されます。
審査の対象となるおもな基本情報は、以下のとおりです。
- 年齢
- 家族構成
- 居住形態(持ち家か賃貸か)
- 居住年数
もちろん、これらの情報だけで審査結果が決まるわけではありませんが、申込者の信用度を補強する一つの要素として考慮されます。提出する本人確認書類の情報と申込内容に相違がないよう、正しく申告するようにしてください。
⑤返済負担率
返済負担率とは、申込者の年収に対して、年間に返済するすべてのローンの合計額が占める割合のことです。返済負担率は、金融機関が無理のない返済が可能かどうかを判断するための、重要な指標となります。
たとえば、年収500万円の人が、申し込もうとしているローンと他の既存ローンを合わせて年間に150万円返済する場合、返済負担率は30%となります。
一般的に、この返済負担率の目安は年収の30〜35%程度とされており、これを超えると返済の負担が重いと判断され、審査に通るのが難しくなるため注意しましょう。
ローンを組めるか調べる際に気をつけたい注意点

ローン選びでは、誤った情報に惑わされたり、知らずに不利な行動をとってしまったりするケースも少なくありません。もし、誤った情報によって闇雲に行動すると、ローンが通らなくなるなどのトラブルに発展する可能性があります。
ローンを組めるか調べる際は、正しい知識をもって慎重に行動することが大切です。
ここでは、ローンを検討するために、特に気をつけておきたい重要な注意点を4つ解説します。
①審査が甘いなどの広告や情報には注意する
「誰でも借りられる」「ブラックでもOK」といった誇大な文句をうのみにすると、違法業者に巻き込まれるリスクがあります。貸金業法で正規の金融機関や貸金業者は、申込者の返済能力の調査が義務付けられており、「審査が甘い」といった誇大広告は禁止されています。
このような広告を掲げている業者は、法外な高金利を要求する違法な闇金業者や、個人情報を狙った詐欺である可能性が高いです。安易に申し込んでしまうと、深刻な金銭トラブルや犯罪に巻き込まれる危険性があるため、注意しましょう。
②金融機関・業者の信頼性を確認する
ローンを申し込む前には、その金融機関や業者が信頼できる正規の業者であるかを必ず確認しましょう。正規の貸金業者は、必ず国(財務局)または都道府県に登録をしており、登録番号をもっています。
この登録番号は、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス(※)」のホームページで検索すれば、実在する正規の業者かどうかを確認できます。会社の所在地や連絡先も調べておきましょう。少しでも怪しいと感じたら、その業者を利用するのは避けるべきです。
③仮審査でも虚偽の申告は絶対にしない
仮審査は簡易的とはいえ、年収や勤務先などの情報を偽って申し込むと、後から実態を調べられた際に大きな問題となります。仮審査の段階であっても、嘘の報告は本審査の過程で提出する書類や信用情報の照会によって高確率で発覚します。
悪質とみなされれば詐欺罪の対象になる可能性もあるので、必ず正しい申告をしてください。虚偽の申告が発覚すれば、審査に落ちることはもちろん、その事実が信用情報に記録されたり、社内ブラックとして登録されたりして、将来的にその金融機関や系列会社でのローン契約が困難になる可能性があります。
④借りられる金額と無理なく返せる金額は違う
ローン審査の結果、「借入可能額」として提示される金額は、あくまで金融機関が審査基準にもとづいて「貸し出せる」と判断した上限額に過ぎません。
この「借りられる金額」が、自身の生活実態において「無理なく返せる金額」と必ずしも一致するわけではないことを強く認識しておく必要があります。
借入可能額に惑わされず、家計の状況を冷静に分析し、余裕をもった返済計画を立てることが何よりも重要です。
ローンに落ちたときの対処方法

もし審査に落ちても、必要以上に落ち込んだり、あせったりする必要はありません。まずは落ち着いて、なぜ審査に通らなかったのか、その原因を考え、次にとるべき行動を検討することが大切です。
あわてて別のローンに次々と申し込む前に、ほかの対応方法を検討してみましょう。
ここではローンに落ちたときの対処方法を3つ解説します。
①現金で一括購入をする
もっともシンプルかつ借金のリスクを回避できるのが現金一括です。ローンを組まないため、金利や手数料がかからず、結果的に総支払額を抑えられます。
また、購入と同時に車の所有権が完全に自分のものになるため、将来的に売却したりカスタマイズしたりするのも自由です。一方で、手元の資金が大幅に減少するため、その後の急な病気やけが、冠婚葬祭といった不測の事態に備えるための貯蓄が心もとなくなる可能性があります。
購入するときだけでなく将来的な部分まで考えて、購入を検討しましょう。
②残価設定型ローンを利用する
残価設定型ローンは、数年後の下取り価格(残価)をあらかじめ見込んで設定し、月々の返済を軽くする仕組みです。月々の返済額を低く抑えられるため、毎月の負担を軽くしたい人や、より新しいモデルの車に乗りたいと考えている人に適しています。
ただし、契約終了時は車を返却または残価を支払っての買取りを選択する必要があり、車体を傷つけないように気を遣う必要があります。また、残価にも金利がかかるため、総支払額は通常のローンより高くなる場合がある点は注意が必要です。
③中古車販売店の自社ローンを利用する
自社ローンは販売店独自の基準で審査をおこなうため、現在の収入状況から、将来的に安定して返済できるかどうかを重視して判断される傾向にあります。そのため、信用情報に不安がある人でも利用できる可能性が高いです。一時的に資金繰りが厳しいものの、車が必要な人にとっては、最後の頼みの綱になり得る選択肢です。
ただし、車両価格に手数料が上乗せされることも多く、結果的に他のローンより割高になりやすい点には注意しましょう。
ローンを組めるか調べることは、後悔しないための大切な第一歩

本記事では、ローンを組めるか調べるための具体的な方法について、審査でチェックされるポイントや各ローンの特徴比較、審査に落ちた場合の対処法を交えて解説しました。
ローンを組めるかどうかを100%確実に事前に知る方法はありません。しかし、仮審査や信用情報の確認をはじめ、事前調査をすることで可能性を予測できます。
自分の状況を客観的に見つめ直す作業は、将来的に後悔しないための、そしてより良い条件でローンを組むための、大切な第一歩だといえるでしょう。
自分に合ったローンの種類や返済方法をあらかじめ比較検討しておけば、もし審査に落ちた場合でも落ち着いて対処法を選べます。納得のいくローン契約を結ぶためには、慎重さと計画性が何よりも重要です。
ローンを組めるか調べる行動そのものが、自分の経済状況と真摯に向き合う良い機会となります。ぜひ一つずつ比較・検討し、将来の負担を減らす、賢いローン選びを実現しましょう。